最初にその子の後姿を見たとき、僕は一瞬女の子かと思いました。場所は僕がよく行く近所の楽器屋。その子は椅子に座って、一心不乱にギターの試奏をしていました。
そのころ僕は、僕が辞めたあと、昭和のSAを引き継いでくれる人を探していました。あちこち自分の知人、友人にギターと接客ができる人を紹介してもらえるようお願いしていました。気心の知れたこの楽器屋の従業員の子にもお願いしていました。
「あ、ハルさん。彼がそうです」
僕の存在に気がついた店員の子が僕に言いました。すると、それまで弾いていたギターを止めて、やおら彼が立ち上がりました。小柄で髪の長い、やはり女の子のような華奢な体つきをしていました。
「あ、どうも! よろしくお願いします!!」
(LOVE 注入!)元気に挨拶をする彼の顔をみて、とっさに僕の頭に浮かんだのはそんな某お笑い芸人のギャグでした。たしかにちょっと似ています。僕も挨拶を返し、二言三言言葉を交わしました。気だてがよく明るく、ご両親に大事に育てられた感じのする好青年でした。この子に引き継いでもらいたい。僕はすぐにそう思いました。
そして、その最初に出会いから約一ヶ月。その小柄な男の子は「タカ」という名前でステージアシスタントとしてあの黒いTシャツを着て働いています。当初はやったこともないフォークソングの弾き語りをこなし、歌うお客さんの演奏を間違えたといってはしょげ返り、PAをいじりながら曲やお客さんの顔を憶えようと必死に目と耳をこらし、お客さんの演奏が終われば大きな拍手を惜しみなくしています。その姿はまるで、昭和という店に懸命にLOVEを注入しているかのようです。僕の後釜は、最初に会ったときの印象のままとても気だてのいい二十四歳の好青年です。彼なら、かならず昭和というお店を盛り上げてくれるはずです。みなさん、「タカ」をよろしくお願いします。
さて、この一年あまり続いた僕のブログも今回が最終回です。文章が浮かばず月曜日が憂鬱になったり、最近キレがないねぇなどとお叱り、ご批判も受けましたが、総じて僕自身楽しく執筆ができましたし、幾人かのお客さんに好評もいただきました。ほんとうにありがとうございました。
またいつか、どこかでお会いしましょう。それでは皆様さようなら!!!


